時代劇を考える・大岡越前(ドラマ)第6部について(竹脇無我と西郷輝彦、そして加藤剛)

誰からも何の需要もないけれど、

今日は「あること」を残念に思いました。
それは。。。。


大岡越前(第6部)の中で、小石川療養所の医師「おらんだ新三郎」というキャラが私は好きなのですが(演じるのは西郷輝彦)その「おらんだ新三郎」の出演が終わったのだ。

もともと、劇中では大岡忠相(演じるのは加藤剛)の親友である「榊原伊織医師(演じるのは竹脇無我)」が小石川療養所を任されていたのを、長崎に蘭学の修行に行ってしまったため、代わりに「おらんだ新三郎」が来ている(という設定)になっていたのだ。
だから、私の好きだった「おらんだ新三郎」の方が、どっちかといえばはみ出しのオマケであり、長崎から「榊原伊織」(竹脇無我)が戻ってきたのと入れ替わりに「おらんだ新三郎」は旅に出てしまった。

あーあ 
名残惜しや「おらんだ新三郎」

大岡越前は第15部まで放送された、我が国の時代劇界においては水戸黄門と双璧を成す長寿シリーズ。
ちなみに、この水戸黄門も大岡越前も、CALという同じ制作会社が作っていて、どちらもナショナル(Panasonic)が1社スポンサーでて供していました。

「大岡越前」は、時代劇的には、「優等生」のドラマですので、脈拍も呼吸も一切乱れない、心臓の弱いうちの父や脳の血管が細くなりつつあるうちの母も安心して見られるような、平坦な進行のドラマです。
そんな中で、「おらんだ新三郎」はほんの少し、冒険する役柄だった。いずれ榊原伊織(竹脇無我)が戻ってくるまでの代役である、ということもあったと思いますが、榊原伊織(竹脇無我)と大岡忠相(加藤剛)のベタついた親友ごっこに一石投じるような役作りだった。
実際、加藤剛と竹脇無我は私生活でも親友で、この大岡越前でも30年以上共演をしている。
竹脇無我、うつ病で67歳で死んじゃいましたけど。。。。ちなみに竹脇無我のお父さんも67歳でうつ病が原因で自殺してます。
竹脇無我のうつ病の発病のきっかけは、同じ大岡越前で共演していた親友の松山英太郎が食道がんでなくなったあたりから。
そして、竹脇無我の代役を務めた西郷輝彦も、松山英太郎同様、親友なのです。

こういう、ありとあらゆるカオスな人間関係、どうなんだろ、加藤剛ファミリー的なもの?
それが苦手だ!
橋田ファミリーとかも・・・同じような顔ぶれが同じような雰囲気のドラマに脚本や設定を少しだけ変えてだらだら出ているのはなんじゃそりゃ。と思います。まさしく、テレビが視聴者のためなどではなくスポンサーのお金でテレビ局と制作会社が勝手に作っているだけのものであることがよーくわかります。


「大岡越前」も、主役(加藤剛)を変えることもアリな番組にしていけばよかったのに・・・・
「水戸黄門」はそういう意味で成功しましたね。
まあ。主役がおじいさんだから、配役も当然高齢者になり、結果として高齢化により役者側が降板する流れがあった。

大岡越前は、加藤剛のビジュアル的な最盛期に始まったため、途中で配役変更できなくなってしまったのだろう。
これは暴れん坊将軍における松平健と同じ。加藤剛(あるいは松平健)があまりにもりりしく美しくかっこいいので、それがドラマの人気を牽引して数字をとる。ゆえに、配役を変えずずーっと使い続けると、もう変え時を失ってしまい、俳優側も「あたり役」として全スケジュール&全プロモーションをそこに照準を合わせてくるので逃げ場のない展開になる。

水戸黄門は主役(黄門様・助さん格さん)を変えながらも、うっかり八兵衛だの弥七だの、脇を比較的変えないでいたので、けっこういいやり方だったのかもしれない。


そんな中、「大岡越前」に出ていた佐野浅夫はラッキーな卒業をしました。
「水戸黄門」の主役に抜擢されたという理由で「大岡越前」を卒業したのだ。(笑)
佐野浅夫って、ファミリードラマや刑事ドラマにお父さんや刑事役で出てはいたけれど、主役を張るようなタマではなかった。
それが晩年になって国民的時代劇で主役なのだから、そりゃ何を差し置いても飛んで行って出演するだろう!

水戸黄門にはそういう魅力があった。
時代劇に出ているソコソコの俳優が最後に夢見る「高齢化した時代劇俳優のアガリのポジション」それが水戸黄門。
その最後の受け皿もなくなっちゃったし、大岡越前ももちろんもうなくなっちゃったし、日本では現在、レギュラーの新作時代劇は1本もないのだ。


残念であります。


仮面ライダーだとか、助さん格さんだとかも、「イケメン若手俳優の登竜門」的なポジションとされた時代もありましたね!


さて、比類無き絶世の美男子として、大岡越前を演じた加藤剛ですが、30年の歳月により美男子も年を取っていきます。
竹脇無我も大変な美青年として知られた人ですが、老いていく自分の容姿を受け入れることに苦しんだといわれている。
美しい人ほど、老いを受け入れがたいものなのかもしれない。
だから、竹脇無我はある意味、いい時に亡くなったのでは ともいわれる。
それは…、大岡越前終了後の加藤剛が、若返り整形でそれはもうとんでもない気味の悪い顔になってしまっているからだ…


加藤剛は30年間のあたり役(メシの種)を得て、幸せな俳優だったとは思う。(過去形で書いたがまだ死んでないからね!)
けれど、古い2時間ドラマ「捜査線上のアリア」を見ていたとき、加藤剛が脇役で刑事として出てくる。

気が散って仕方がない!!!
大物感が漂っていて、目のやり場がないわ!
かといって、主役にはなれない!!
だって加藤剛は、正義と情けの大岡裁き!大岡越前だもん!!!
私はその正義感づらが嫌いなんだけどね!(あ、言っちゃった)


対照的な存在として、「香川照之」をあげておきたい。
最初に見たのは「静かなる首領」のVシネマ。下着メーカーに勤めるダメ男(実はヤクザの跡取り息子→組長に)という役割でした。
オーラがすごかった!2つの顔を上手に使い分けていて、すごいなあと思ってみていました。
この人は、どんな役でもNGなく引き受けるらしい。(もちろんスケジュールやギャラなどの精査はあるだろうけれど)
いい人役から極悪人まで、超貧乏人から大金持ちまで、別名「主役食い」と呼ばれてるそうだ。
自分がもし役者なら、1つの役を30年やるより、香川照之のようにありとあらゆる他人の人生を縦横無尽に演じたいな。
あるいは、もし1つの役を長年やるのだとしたら、正義の味方や聖人君子みたいなのは絶対に嫌だ。


加藤剛は私生活でも大岡越前のイメージが強すぎて悪いこともできなかったそうだ。
また、俳優としての履歴を見てみると、昭和天皇役や山本五十六、伊藤博文などの大物や、吉田松陰、杉原千畝などの歴史上の人物などが目を引く。時代劇では大岡越前以外では「剣客商売」だろうけれど…

松平健も「吉宗感」が強すぎて、現代劇にはほとんど出ていないし、時代劇もあまり・・・
吉宗を打破するために「マツケンサンバ」したりして、涙ぐましい努力。
松平健はあの声がもう「貧乏旗本の徳田新之助」だもん!(笑)
過去の同系失敗に「杉良太郎」がありますね、時代劇のインパクトが強すぎて現代劇に出られない。

そう考えると、高橋秀樹や北大路欣也ってすごいな!!!!
超主役を演じていながら、普通の現代劇にも出てる。
しかもちゃんと脇役やれているからね!


「暴れん坊将軍 吉宗評判記」(松平健)、「水戸黄門」はわりと「動的」なシーンが多く、吉宗(松平健)は1時間ばっちり飛び回っているし、歴代黄門様もなかなかの活動ぶりです。
大岡越前は、だいたいは役宅にいるか、最後におシラスで裁く場面かのどちらか。これに嫁さんと縁側で語らうシーンがプラスして大岡3場面と名付けてます。(私が勝手に)そういう「静的」なシーンが多いのです。

榊原伊織の竹脇無我が休んでいた時期に、おらんだ新三郎の西郷輝彦が小石川療養所に来て、加藤剛×竹脇無我の「昭和の美男子競演+正義の友情と情けの物語」が一瞬崩れたのだよね。

西郷輝彦のおらんだ新三郎は大岡越前にこういうのです。


薬を与えて寝ているだけでは病は治らない。
人々の病はほとんどが貧乏が原因だ。
貧乏がある限り病はなくならない!
(うろ覚え)


竹脇無我イケメン美男子榊原伊織先生は、親友の正義感と情けの加藤剛大岡越前にそんなことは絶対に言わないのだ。


なお、西郷輝彦のおらんだ新三郎は第16部でも出演しているし、西郷輝彦自体は、この大岡越前と同じ枠(月曜8時のパナソニック時代劇枠)でローテーション放送されていた「江戸を斬る」の主役でもありましたので、スケジュールも空いていたでしょうし、同じスポンサー同じ制作会社(CAL)だから断る理由もなく、しかも親友の竹脇無我の代役なので、むしろ喜んで出ていたに違いない。


流れでついでに「大岡越前第14部」のことを最後に書きますと、新三郎の医学の師匠という名目でなななんと森繁久弥が特別出演。その大先生の連れとしてついてきた娘が故・松山英太郎の実の娘さん。
うつ病で自殺しそうになっていた竹脇無我をいつも支えていたのが西郷輝彦と森繁久弥だそうですので、まあ、時代劇の世界って狭いのですよね。同じ撮影所で同じメイクさん同じ衣装さんで仕事をしたり、どこの放送局でどこがスポンサーか、ということとは関係なく「時代劇役者の世界」があったのだろう。


ゆえに面白かった。
ゆえに、そういう「固定化された仲間内、身内のナァナァ感」「他の世界(芸人や役者)を見下す風潮」が嫌われて衰退した、
という部分もあろう。
その、「固定化された仲間内、身内のナァナァ感」」「他の世界を見下す風潮」は、日本映画が衰退した時にも言われたことだし
落語の世界でも言われた。


スポーツではいつも、野球や水泳の世界でそれはささやかれる。


あーあ 特に好きでもなんでもない、むしろ嫌いな部類に入る「大岡越前」について
こんなにも語ってしまったわ!!












[PR]
by frater2015 | 2015-05-08 15:07