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大祚榮(テジョヨン)全134話クリア、韓流考(冬のソナタ+チャングム)

自称・韓国ドラマが大嫌いな私です。
(韓国ドラマが好きな人はこの記事を読まないように。)

何の罰だかわかりませんが、先週から諸般の事情でほとんど家から一歩も出られなかったため、いい機会なのでこれまで食わず嫌いだった「韓国時代劇」を死ぬほど見てみようと思いました。

と、その前にこれまでの韓国ドラマと私の過去を振り返ってみます。

これまで見たことのある韓国ドラマは「冬のソナタ」
そして「宮廷女官チャングムの誓い」
この2本だけでおなかいっぱいでした。
あとはつまみぐい程度で全編見たのは過去2本だけ。


まず「冬のソナタ」

これはまあ見られた、但し毎回主題歌が日本の確かDUOというフォークグループの曲「愛は陽炎」のガチなパクリだったため、それが非常に不愉快で違和感があった。内容としてはありとあらゆる嘘と欺瞞とその場限りの都合の良い設定にあふれていて、ナンダコリャなんですけれど、娯楽ドラマということでそこはスルーしました。
どうしても見るに堪えなかったのは、物凄い剣幕でがなり立てて怒ったり、激しく罵倒したり、そういうシーンが非常に多かったところ。「冬ソナ」は初の韓国ドラマ視聴にして、もう二度と韓国ドラマはいいや!と私に思わせたドラマでした。
全盛期のヨン様とヒロインのチェジュウは、日本人の好きな感じの顔でしたね。
特にヨン様は「知的なメガネ男子」というジャンルのストライクゾーンど真ん中でしたし、チェジュウは「勝気だけど不器用、素直になれない女の子」の姿が共感を呼び、よく紹介される「雪だるまのシーン」などは抒情的で可愛らしく、引き合いながらもなかなか結ばれない男女の関係の難しさの描写に、引き込まれて見ていました。


ヨン様若いな!
最近ではLG電子の令嬢との婚約が破棄されてしまったヨン様。借金もあり訴訟も多く抱え、これからどうなっていくのだろう。
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アニメ版
再現性が低く、評判が悪かったようです。
このシーンだけ見ても陽の射し具合、はしゃいだ後の少し乱れた髪型、服の色、ヨン様の手袋の色、手の大きさvsチェジュウのピンク色の手袋と手の小ささ、など、もっと再現できただろう!と思えるところがいっぱいある。

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次に「チャングム」

ある種、初の時代劇視聴。現代ドラマはどうしても今の韓国あるいは日本の暮らしとオーバーラップさせたり比較したりしてしまって「んなことあるわけないだろ!!!」と突っ込みどころ満載になってしまうのだけど、時代劇ならば最初から「これはフィクションです」と割り切ってみられるんじゃないか、と思っていたのです。
甘かった!!!めちゃくちゃ残酷なシーンが多い!そしてやはりありとあらゆる嘘と欺瞞に満ちていて、物語の展開も非常に遅く、また都合勝手に展開してく。実在する人物、という印象操作があるけど、確かに「人物」としての存在は1行だけ歴史書に出てくるそうですが、「どんな人」(医者なのか料理人なのか、女性か男性か、どこの生まれでどう生きたかなど)であるかは当然その1行からは推測できるはずもなし。
そこを作家であり演出家なりが「聡明で美人」「王に愛され」「宮廷で才覚を表し」「そこに陰謀が渦巻き」と物語を考えたのですね、そのあたりの想像力は凄いなあと思います。
ま、でも「宮廷」やら当時の服装(衣装)、髪型などについては時代考証的に全くあり得ないものばかりだそうで、未だに物議を醸していることはご存じの通りです。※当時の朝鮮は唐の属国ですからね。
※追記 チャングムの物語で、頭に袋をかぶせて荷物のように担いで誘拐するシーンが繰り返し出てきますが
あれは朝鮮半島の誘拐のデフォルトみたいですね、北朝鮮の拉致被害者の多くがあの方法でさらわれたりしてます。海岸を歩いていると袋をかぶせられるらしい。拉致被害者の帰国を求める運動が盛り上がってきたタイミングだったので、そのシーンはよく話題になっていましたね。

チャングムは「一本気で融通の利かない、でも信念に向かって生きる」健気さ、賢さが伝わるよいキャスティングだった。
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周辺の陣容も良かったですね。
個人的にはチャングムの彼氏(ミンジョンホ)も「誠実で正義感が強く王への忠義も厚い、不器用な武将」の姿をよく演じていて、チャングムとジョンホがハッピーエンドになって良かったと思いました。
ちなみに私、当初「チャングムの誓い」ではなく勝手に「チャングムの呪い」だと思っていました。見始めてしばらくして「呪い」じゃなく「誓い」であることに気付いた。

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日生劇場ではなんと菊川怜がチャングムを熱演。
しかしまあ、よくこれだけ雰囲気の似た人たちを探してくるものですね。
キャスティングってすごい仕事だと思う。
幼少時代とか再現ビデオとか見るたびに「似てる!」と感動しませんか?


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アニメ版では少女設定でした。
それゆえに「厳しい修行」(に名を借りたイジメ)の様子は、「おしん」を髣髴させるものだった。
でもこのアニメ版のチャングムは「小賢しい」「子供らしくない」「憎らしい」と悪評されていましたね。本来大人であるチャングムの行動を、子供の設定に乗せ換えたためにそういう印象になってしまったのだろう。

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なお「チャングム」ですが、ドラマの買い付けから放映、関連ビジネス(DVDやイベント、音楽、出版)の全てをNHKとその周辺グループが独占し、アニメ版の制作までNHKが関わるという「国家プロジェクト」状態になっていました。(原資は皆様からの「受信料」です)
のちにこの「チャングム」含む韓流関連買付費用が、常識を超える甚大な額だったことが明るみになり「多額の受信料が韓国ソフト・コンテンツを通して韓国に流れ込んだ」「公共電波でフィクションをあたかも真実のように放映した」として、ついには国会で片山さつき議員などに質問をされるほどの大問題に発展したのでした。
これは現在も尾を引く「NHK受信料不払い運動」の遠因にもなった「事件」でした。



で、話は戻り本題です。

ほぼ1週間の間、こんな軟禁状態になってしまったので、「時代劇なら大丈夫だろう」とタカをくくって見始めたのがこの大祚榮(テジョヨン)全134話、でございます。
物語はKNTVによればこのように紹介されています。

『高句麗人の流れを汲む渤海を建国した テジョヨン(大祚榮)の一代記を描く歴史スペクタクル!!』
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いやあもう ひどすぎ。

(1)時代考証がひどすぎ

まず高句麗建国時にテジョヨンが成人してるわけないだろ!!!という、ごくごく普通の、一般的な時代考証、いくらフィクションでも全体として国や人名に実名を使っているのに、主人公の存在を脅かすような無理な時代設定はダメなんじゃないのか。
しかも韓国ドラマってどういうわけだか「これはフィクションです」というのを嫌がる傾向がある。
「史実に基づいて作った」「歴史的事実を忠実に再現」のほうがフィクションより作品として高貴な扱いになるのだろうか?
まるで事実化のようにグイグイ押してくるのですよ。
ちなみに、このテジョヨンの時代考証のひどさには韓国国内の公的機関からも「物言い」があり、何らかの脚注または「ALLフィクションです」と注意書きを入れよとの指導もあったらしいけれど、何にもそれは処理されていませんでしたね。


(2)脚本がひとすぎ

絶対に、これ、撮りながら作ってたと思う、脚本。もちろんそういうドラマ(撮りながら本を書く)はあるけれど、韓国ドラマって日本のように10~13話では完結せず、物凄く長いのです。このテジョヨンなんて134話だよ!1日10話ずつ見ても13日半かかる。私は12話ずつ見た。1話あたり1時間ですので1日12時間テジョヨン。(←爆笑)
通常は、せめて何話で終わる(予定)があると思う、脚本を書く側に。「20話までに高句麗滅亡」、とか、「100話あたりで父息子のご対面を果たす」、とか計画や構成があってしかるべき。それがないと放送予定や出演者の契約、出演者だけじゃなく制作スタッフ(監督とかメイクとか衣装さんとか)、ロケ地やセットつくりなどあらゆる環境の標準化が成り立たないと思うのですよね。

ところがその構成というものがまったく感じられない…。撮影計画(撮影順)や撮影シーン割(専門用語でいえば「香盤」)も無いまま撮ったのだろう…。
大まかな物語を1話1話切り取り方式で消化していき、「撮っていくうちにいつかは終わる、いつ終わるかは分からん」といった行き当たりばったり感だけが滔々と流れているのを肌で感じるんです。

134話ですよ、私はその134話をおよそ10日間で見切ったのですよ!これだけ連続で見ていても「脚本が不連続で訳わからなくなる」とか普通はあり得んでしょう!?(爆笑)

例えば前回と今回がつながっていない、いきなりシーンが飛ぶ、前回「次回どうなる!!?」というようなシーンで終わったのに次回を見ると何にも続きがない。おいおい!っていう・・・・これは脚本が物語展開を一切意識しないで、行き当たりばったりで書かれていることを意味すると思う。
そして最後の方は間延びし過ぎてジャガジャガジャガジャガ・・・・と右肩下がりに終わっていくのだった。
頑張って最後まで見て良かった!という満足感や充実感はまるで感じられません。
ここまで見てきたことを後悔する脱力感、そうなるであろうことを途中で何度も何度も何度も予感しながらも最後まで見てしまった自分に対して「自分のバカバカ、貴重な時間を!!」と責めたくなる後悔の念などが入り混じって、なんか違う意味で泣けた(内容とは無関係に。苦笑)



(3)撮影がひどすぎ

ここでいう撮影は 1.カメラアングル  2.撮影地(セットなど) 3.ヘアメイクと衣装  の全てを指します。

1.カメラアングル
全編の9割をオッサンの顔のドアップが占めているんじゃないのかというぐらい、ドアップドアップの応酬です。しかもオッサンばっかり!大きくてバストショット、最大でもニーショット、ロングがない!広い絵がない!
狭い絵と狭い絵の間にドアップが挟まれている呼吸困難カットの連続です。しかもストーリー的に出演者の殆ど99%が男(オッサン)なので、結果としてずっとオッサンの顔を見続ける苦行を1話あたり1時間×全134話で134時間、耐えることになる。
これが実は一番キツかった。もう字幕も読むのが気持ち悪くなるぐらい。
せめて吹き替えならばオッサンの連続ドアップを見ないで済んだのだろうけれど、字幕だったから画面から目を離せず撃沈。
しかしこの「カメラアングル」は、実はテジョヨンんをひどい作品にしてしまった「原因」ではなく「結果」であることが徐々にわかってくる…。(次項参照)

2.撮影地
ロケ設定、スタジオセット、これ、なんというか敵味方どっちの時も使いまわされている?
日本の時代劇で例えれば、関ヶ原東軍(徳川)VS関ヶ原西軍(石田)が戦っているのに、西軍の本陣と東軍の本陣を同じセットで撮っているような感じ。絵的な差別化がない!(あり得ん)さらに、会議を行う場所も「同じ場所?」のように見える。
同じレンタル会議室を借りてるのか!って思うぐらい。
無計画に130話もダラダラ作っちゃってるからお金が無くなったのかどうか知らないけれど、序盤がまあマシでそれ以降(30話以降)は本当にひどい。見ていられない酷さ。
多分大きなロケーションセットを組まずにやっているので、30万の大軍!と言いながら、広場みたいなところであっちの王とこっちの王がすぐにチャンバラになる。無いわ~。
1.のカメラアングルと撮影地は表裏一体の関係になっていて、ロングで引こうとすると広い絵に耐えうるワイドなロケーション設定が求められる。
※時代劇「暴れん坊将軍」のオープニングVで吉宗が海岸線を馬でパカパカ走ってくるのは海が背景なら電線もビルもないからだ!
つまりロケーション設定が十分でないため、寄り絵で逃げている部分も多いのだろう。
顔撮っておけばどうにかなる、ということで。(背景を最小限にできる)


3.ヘアメイクと衣装
ドアップで貧弱なロケーションをごまかしたとして、今度はドアップの弊害がある。
1のカメラアングルの悪さに一因するものとして「ヘアメイクと衣装がドアップに耐えられない。」のである。
特にメイク。(1)ほぼ全員が男であること、(2)どう少なく見積もっても全編の5割近くがバストアップ以上の寄り絵(アップ)しかも顔面ドアップ多数、この2つにより、恐ろしく不自然な付けヒゲ、付け眉毛や、恐ろしく濃いへたくそなメイクモリモリが全部見えてしまっているのだ。

後半の後半の後半110話以降~の最終盤においては超主役とも言うべき武将「コム」(主人公テジョヨンの生き別れの息子。宿敵イヘゴが我が子のように育てた。つまり宿命のライバルである二人にとってどちらの息子もでもある存在。)がこれ、見るに堪えない、目を背けたくなるようなベタ塗りのひどいメイク。
重要な役柄だからアップの回数も多く、目で語るような演技をしている(つもり)なのだが、全然、目で語っていない。いや語っているのかもしれないのだけど、白塗りの唇やベタベタの頬コケ演出メイクの方に目が行ってしまって、演技に集中できない!

ヘアは冠+カツラであり、服装も大まかに言えばその当時の「昔風」の服装で現代とは違うので、良し悪しは視聴者に分かりづらいと思う。(チャングムのように時代考証として決してあり得ない服装をしていたとしても……)
けれど、ベタ塗りのドーランや、貼り付けメッシュの見えてしまっている付けヒゲ、会議室でも戦場でも、自国の王と一緒にいるときも妻といる時も、24時間365日同じ服、同じ冠、というのは、時代劇としてはアカンと思います。
そこは、時代劇と銘打つ以上は、ちゃんと「見て楽しめる」ものにしないといけない部分だと思う。
日本の時代劇でいえば、武士(サムライ)と皇族(いわゆる麻呂系)は服装も違うし、話し方も違う。
武士「せっしゃは~でござる!しからばゴメン!!」 皇族「マロは~おじゃる~」というようなもの。

と、まあ134話も見たうえで、ほぼ0点などという評価をつけている私ですが、どうしても、なんか1つぐらいは評価しようと頑張った結果、

「音楽はまあいいんじゃないか」

と思った。
と思った瞬間に、韓流ファンの友人に

あー、テジョヨンの音楽はほぼ「海神」の使いまわしだよ。
パクりじゃなくて、使いまわし、だからかファンの中でもブーブーなんだよ


と聞いて、私の心の中の細い細いたった1本の軸がポキッと折れてしまいました。
(涙)シクシク


#結論#
大河ドラマだと思って見たら大間違い。
これを見るのは時間の無駄。
音楽的には「海神」を見たほうがいいだろう。(海神、がどういうものだか全く知らないけど!!!)
時代考証は全くのでたらめ。134話見終わって、「見て損した」の印象しかない。


あと、韓流時代劇をちょろちょろつまみ食いしていると、その根本的テーマがとどのつまり、
・恨みを晴らす
・奴隷から王(王妃)へ
この2つに集約されると思う。

以前も書きましたが私は「恨みを晴らす系=その前提として、理不尽に無残に虐げられ惨殺される設定」が苦手なのだ。
韓流は恨みを晴らすことを最大のエネルギーに奴隷から王(王妃)へと権力の頂点を目指していくものが多い。チャングムの「誓い」も、必ず復讐を果たす、という「誓い」なんですよね。
アニメではさすがにタイトルから「チャングムの夢」になっていますけど。

復讐モノは全てがうまくいき目的を果たしたとしても人生のほとんどを復讐のために犠牲にしてしまっていたり、愛するものを失ったり、目的のために犯罪に手を染めてしまっていたり、何かと後味が悪い。

逆に韓流的にはそういう要素がないと韓国国内ではヒットしないそうですから、やはり文化の違いを感じるなあ。



by frater2015 | 2015-03-25 20:18